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米中貿易摩擦問題から見える各国の経済関係

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2019年5月5日にアメリカのトランプ大統領が、中国からの輸入品2000憶ドル分に対し、追加関税を10%から25%に引き上げると表明。

その影響により、5月6日の為替相場は軒並み窓開けしました。

先週は、窓開けの大きさやその後の値動きから、各国の経済関係が伺える相場だったと言えます。

今回は、各国の経済や貿易関係について、解説していきます。

 

 

 

米中貿易摩擦の経緯

米中の貿易摩擦問題の流れを時系列で見てみましょう。

 

  • 2017年:中国の対米貿易黒字額が、2,758億1,000万ドルと過去最高を更新
  • 2018年1月:アメリカが16年ぶりに緊急輸入制限(セーフガード)を発動。太陽光発電パネルに30%、洗濯機に20%以上の追加関税を課す。
  • 2018年3月:アメリカが鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の追加関税を課す。
  • 2018年4月:中国が報復関税として、アメリカからの輸入品に15%~25%関税を課す。
  • 2018年7月,8月,9月:アメリカが中国から輸入品に対して、段階的に500億ドル規模の追加関税措置を行う。中国も同規模の報復関税を発動。
  • 2018年12月:米中首脳会談にて、2019年3月1日まで貿易問題について交渉し、その間は関税の引き上げを延期することで合意。
  • 2019年2月:トランプ大統領が交渉期限を延長することを発表。
  • 2019年3月,4月:アメリカが対中追加関税の適用除外品を発表。

 

2018年12月以降は、お互いに痛みを伴う関税措置を取りやめようという流れになっていました。

 

2019年5月5日の衝撃

2019年5月3日に発表されたアメリカの2019年4月の失業率は、3.6%という1969年以来の低水準となりました。

その影響で、アメリカ経済への楽観が広がり、5月3日のナスダック総合株価指数は過去最高値を更新しました。

 

そんな中、ムニューシン米財務長官が、5月3,4日に米中通商協議のために訪中し、5月8日に劉鶴副首相が訪米し、協議をする予定でした。

これまでの経緯から米中貿易に関しても楽観的な見方が広がる中、5月5日にトランプ大統領は「中国からの輸入品2,000憶ドル相当に対する関税を、10%から25%に引き上げる」と宣言。

経済界に衝撃を与えます。

 

5月6日の窓開け

アメリカ経済に影響があるということは、もちろん株や為替にも影響が出ます。

ドルは世界の基軸通貨ですが、アメリカの通貨でもあります。

そのため、5月5日のトランプ大統領の発言により、アメリカの経済状況に影響が出ると考えられ、リスクオフとしてドルが売られました。

 

主要通貨の5月6日の窓開けを見てみましょう。

USD/JPY(ドル/円) 1時間足

 

EUR/JPY(ユーロ/ドル) 1時間足

 

AUD/JPY(オーストラリアドル/ドル) 1時間足

 

EUR/USD(ユーロ/ドル) 1時間足

 

AUD/USD(オーストラリアドル/円) 1時間足

 

USD/CNH(ドル/中国元) 1時間足

 

アメリカと中国の経済リスクの高まりからドル・中国元が売られ、リスクオフとして円が買われたため、クロス円は軒並み下窓を開けて、下落しました。

ドル円、ユーロ円、ドル元に関しては、いまだ窓を埋めていないことから影響の大きさが分かります。

 

クロス円に比べると、ドルストレートの窓が大きくないことが分かると思います。

またドル円に比べて、オジ円の窓が2倍近く開いています。

これは、各国の貿易相手国や強弱が関わるためです。

 

各国の貿易相手国

主要国の輸出入総額に占める中国の輸出入割合(2017年度)

  中国への輸出割合 中国からの輸入割合
日本 19.0% 24.4%
アメリカ 8.4% 21.7%
EU 10.5% 20.2%
オーストラリア 30.6% 18.0%

オーストラリアの中国経済への依存度が高いことが分かります。

また、アメリカに対する中国の貿易黒字が見てとれますね。

 

中国の輸出入額ランキング(2017年度)

  輸出 輸入
1位 EU アメリカ
2位 韓国 EU
3位 日本 香港
4位 台湾 日本
5位 アメリカ 韓国

 

5月5日のトランプ大統領の発言、5月10日の追加関税措置の発動によって、ドル元はドル高となっています。

しかし、ドル円・ユーロ円・オジ円は円高、ユーロドルはユーロ高、オジドルは横ばいで推移しています。

このことから、ドル・元だけでなく、中国への貿易依存度が深いオーストラリアドルも、リスクと見なされていることが分かります。

またリスクオフのマネーの流入先として、対中輸出入比率の高いEUより、比率が低い日本が安心と考えられたため、ユーロ円も円高となったと言えるでしょう。

 

各国の経済状況や関連する通貨などは、以下の記事にまとめています。

未読であれば、一読ください。

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最後に

今回の追加関税措置は、ドル元の相場だけでなく、他の通貨にも大きな影響を与えました。

ファンダメンタルズ関連のニュースが発生した時、その国だけの限定的な影響なのか、各国に影響を与えるのかを考慮する必要があります。

特に、貿易は対外国があるため、その国への貿易依存度が高い国は影響を受けやすくなります。

中国であればオーストラリア、アメリカであればカナダなどが、貿易依存度が高いと言えます。

トレードする際は、関連する国にも注意しましょう。

 

近年、中国は「一路一帯」政策として、各国との結び付きを強めています。

一路一帯と関係国

  • 21世紀海上シルクロード:東アフリカ、中東、東南アジア
  • 氷上シルクロード:ロシア
  • 平洋海上シルクロード:中南米諸国

豊富な中国マネーによる投資で、各国の経済に影響を強めているので、今後も中国関連のニュースには注意が必要です。

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