投機と投資、似たような字面ですが、意味合いは大きく異なります。
今回は、相場を動かす投機と投資の資金の役割を解説します。
投機とは?
投機では、FXトレードのように為替や株式、債券などの売買差益(キャピタルゲイン)を狙って、資金を動かします。
キャピタルゲインは、売買できるものであれば形を問いません。
そのため、金融商品だけでなく、先物取引や原油、不動産、金などの貴金属も対象となります。
投機:売買差益を得られる機会(チャンス)に、お金を投じること
投資とは?
投資と聞くと、「自己投資」といった自己啓発系の本で推奨されている言葉が身近でしょうか。
企業で使われる「設備投資」、「株式投資」といった言葉も、よく聞かれると思います。
このように、投資とは直接的な利益を得るためにお金を使うのではなく、投資対象の生産性を高めるためにお金を使い、運用利益を得るという考え方です。
自己投資であれば資格の取得による収入の増加、設備投資であれば生産性の向上による売上高拡大などです。
トレーダーに身近なところでは、株式投資であれば配当(インカムゲイン)があります。
投資:生産活動を行うための資本に、お金を投じる
投機とボラティリティ
投機は、売買差益を得られる機会にお金を投じるため、十分な差益が確保できた場合、資金は回収されます。
買いポジションを持っていたのであれば、利確(反対売買)で売られるということです。
また、売買差益が目的ですので、相場が逆行した場合は損切りを行い、リスクを限定します。
これは、スキャルピングトレードでもデイトレード、スイングトレードでも同じです。
売買差益が目的の投機では、ボラティリティがない相場では利益を得ることができません。
ボラティリティがあれば、損切りしても新たなポジションを持って、損益をプラスにできる可能性があります。
そのため、投機において売買差益を得られる機会が多いボラティリティのある相場が好まれます。
投資とトレンド
投資は、生産活動を行うための資本にお金を投じて、運用利益を得ることが目的のため、利益が出ている限り、資金の引き上げはありません。
資金を引き上げるのは、投資案件の安全性や配当収益、成長性などが失われた時です。
そのため、多少の価格の変動は許容されます。
投資は、運用利益が出ている間は、多少の価格変動で資金が引き上げられることはありません。
また、魅力的な投資案件であれば、継続して資金が投下されるため、長く相場に一定の方向性(トレンド)を与えることになります。
相場における投機と投資
投機と投資、異なる性質の資金が、相場の動きに影響を与えます。
価格のボラティリティを利用した投機と、相場の大きな方向性を決めるトレンドを形成する投資。
最後に
投機家であるトレーダーは、以下の事項を理解しましょう。
- 投機筋は、売買差益を得られる機会を狙って、相場に資金を流入する
- 相場にボラティリティがあるほど、売買差益を得られる機会が多い
- 投機のポジションは、利確にしろ、損切りにしろ、必ず決済(反対売買)される
- 投機と投資の資金が作用し、相場を動かしている
相場のトレンド、ボラティリティから、投機の資金の流れ、投資の方向性を把握することで、優位性のあるトレードができます。
また、他の相場参加者が、どこで売買差益を狙うのかという視点で相場を見ると、新たな視点を得られますよ。