レンジは、いつかはブレイクされます。
今回は、レンジブレイクについて、解説します。
レンジが発生する場面
レンジは天底、またはトレンドの途中に発生します。
トレンド終盤に天底付近でレンジができた場合、レンジブレイク後はトレンド転換となります。
トレンド中のレンジであれば、レンジブレイク後はトレンド継続となります。
上位時間足から見るレンジ
レンジの発生した場面がトレンド終盤なのか、途中なのか、迷われる方も多いと思います。
その判断は、レンジが発生している時間足の上位時間が参考となります。
上位時間の意識ラインで、価格の値動きが止まっているのであれば、天、もしくは底となり、ブレイク後は転換しやすいでしょう。
逆に、意識ラインがないところで、価格が止まっているのであれば、調整局面のレンジとなり、ブレイク後はトレンド継続となりやすいです。
実際のチャートを例として、解説します。
下のチャート画像は、「レンジの定義」記事で、レンジの一例として、紹介したチャートです。
AUD/JPY 4時間足
これを、上位の時間足である日足チャートで見てみましょう。
AUD/JPY 日足
4時間足で表示しているチャートは、ピンク色の○部となります。
日足チャートを見ると、青色の○で高値/安値が切り下がって、下落トレンドとなっています。
しかし、ピンク色の○の直前の高値(茶色の○)が、前回の高値を上回っており、下落トレンドの定義が崩れました。
前回の安値 78.650(青色の水平線)を下に抜けて、安値を更新しないようであれば、下落トレンドは完全に終わりと言えます。
そのため、相場参加者は前回の安値 78.650(青色の水平線)での値動きを意識します。
AUD/JPY 4時間足
その後の4時間足チャートです。
ピンク色の○で、前回の安値 78.650(青色の水平線)を下に抜けようと試みましたが、抜けきれずに上昇。
水色の○で4時間足のフラッグをブレイクしました。
レンジ(フラッグ)ブレイク後は下落トレンドから、上昇トレンドに転換しているていることが分かります。
このように、レンジが発生した上位時間足を見ることで、レンジの発生した場面やブレイク後の動きなどが理解できるようになります。
レンジブレイクの原理
レンジブレイクが起こる理由は、相場参加者の心理にあります。
大きな利益を狙うトレンドフォロー型の機関投資家は、レンジでのトレードを避け、レンジブレイク後にエントリーします。
レンジ相場になると、ポジションを決済したり、エントリーを控えるため、大きな資金が入らない状態となり、相場から流動性が失われます。
流動性が失われると、レンジのレジスタンスライン、サポートラインで逆張りトレードをしていたトレーダーも資金を引き揚げます。
レンジのレジスタンスライン、サポートラインで反発していた動きが鈍くなり、混沌とし始めます。
ブレイクを恐れる逆張りトレーダーはレンジでの逆張りはしなくなり、レンジブレイクを待つ順張りトレーダーが相場に資金を入れるため、レンジブレイクへの動きが加速します。
このような相場参加者の心理により、レンジブレイクは起こるのです。
先ほどのAUD/JPY 4時間足チャートのレンジブレイク場面(水色の○)でも、レジスタンスライン(緑色のトレンドライン)を上に抜けたり、下に抜けたりしていました。
この動きを見て、「レジスタンスラインなので、逆張りしよう」というトレーダーは少ないでしょう。
むしろ、「ブレイクするのではないか」と、ポジションを持っていたら決済し、エントリーを控えるはずです。
ダマシとなるレンジブレイク
レンジをブレイクしたからと、安易にブレイク方向にポジションを持つことはお勧めしません。
1回目のブレイクは、様子見のトレーダーが多く、ダマシとなることがあるからです。
特に東京時間でレンジになった場合、欧州時間の初動でレンジブレイクの動きを見せた後、ブレイクとは逆方向に動くことが、多いです。
では、どこでエントリーをするのが良いのか?
レンジブレイク後のエントリーポイント
レンジブレイクした後、ダマシの動きもない場合、レンジのレジサポ転換を利用したり、意識ラインでエントリーするのが、良いでしょう。
AUD/JPY 4時間足
水色の○では、レジスタンスライン(緑色のトレンドライン)を上に抜けた後、下に抜けています。
安易にレンジブレイクだと、買いエントリーしていたら、損切りとなることが分かります。
上昇後、押しを作る動きとなり、レンジブレイク後の高値と直前の高値を結んだ紫色の水平線で反発(赤色の○)し、再上昇しています。
赤色の○のように、意識ラインでの反発上昇を利用したエントリーをするのが、良いでしょう。
レンジをブレイクした後の押し目ということで、多くの相場参加者が安心して買いポジションを持ちます。
そのことは、最初のブレイク後の上昇よりも、大きく価格が上昇していることからも分かりますね。
最後に
相場参加者の心理や上位時間足を利用することで、レンジやレンジブレイクでのトレードの優位性を高めることができます。
「相場の3割はトレンド、7割はレンジ」と言われています。
トレードに向いているレンジは半分の4割くらいでしょう。
レンジ相場はレジスタンスライン、サポートラインが明確なので、トレードしやすい相場です。
レンジトレードをしてみようという方は、ぜひ相場参加者の心理や上位時間足を意識してみてください。
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トレードすべき「レンジの定義」
相場には、以下の三つの状態があると紹介したことがあります。 テクニカル勢力が支配している相場 ファンダメンタルズ勢力が支配している相場 テクニカル勢力、ファンダメンタルズ勢力ともに、撤退している相場 ...
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