トレードをする際に、経済指標を意識されている方は多いと思います。
私は、テクニカル重視のスキャルピングトレードを行うため、経済指標は毎回確認し、関連する通貨や相場への影響度などを考慮して、トレードをする時間を決めています。
一見テクニカルと経済指標は無関係に見えますが、経済指標=ファンダメンタルズです。
相場への影響が大きい経済指標の発表前後は、相場をファンダメンタルズが支配しているといえます。
そんな相場ではテクニカルが無効となるので、テクニカルに基づいてトレードをしても負けるだけ。
そのため、ファンダメンタルズに基づいてトレードしている方も、テクニカル重視でトレードされている方も、経済指標について知っておくべきでしょう。
経済指標とは?
経済指標
各国の政府や中央銀行(日本なら日銀)など、公的機関が発表する自国の経済状況を数値化したもの
身近で言えば、預貯金や住宅ローンなどの利子にかかわる政策金利も経済指標の一つです。
金利が下がると、低金利で資金を調達できますよね。
住宅の購入を検討されている方は、低金利の時に購入しようと考えるでしょう。
また預貯金を考えている方は、各銀行の利子や定期などの金融商品の利子を比較し、高金利なところに預貯金をすると思います。
企業の設備投資は億単位の資金が動くため、金利が低い時に行われやすくなります。
設備投資が行われれば、建設・設備関連の会社にお金が支払われ、経済が活性化します。
このように政策金利は、日本経済全体、また為替相場に与える影響も大きいのです。
国単位の大規模な経済活動の指標となる政策金利や雇用統計、国内総生産(GDP)のほかにも、いろいろな経済指標があります。
どの指標が為替相場に大きな影響を与え、トレーダーに意識されているのか、見ていきましょう。
相場への影響度
- 金利関連:政策金利
- 雇用関連:雇用統計、失業率
- 景気関連:国内総生産(GDP)、景況感指数、小売売上高
- 貿易関連:貿易収支
社会科の時間に勉強したような言葉が並んでいますね 笑
他にも「建設支出」や「全世帯家計調査・消費支出」などの指標があります。
あまり相場に大きな影響を与えないので、上記の指標を特に注意していれば大丈夫です。
経済指標の中でもよく聞くのが、アメリカの雇用統計ですよね。
他の国、例えばトルコやニュージーランドの失業率などは、あまり意識されていないのに、なぜアメリカの失業率は相場に影響を与えるのでしょう?
それは国によって、世界経済、相場に与える影響度が違うからです。
国による影響度
FXトレードにおける主要な取引通貨と国
- アメリカ(ドル)
- カナダ(カナダドル)
- EU(ユーロ)
- イギリス(ポンド)
- 日本(円)
- オーストラリア(オーストラリアドル)
どの国の経済指標も、相場に同じ影響を与えるわけではありません。
指標によって影響の大小があるように、国によっても世界経済への影響の大小があり、その影響が相場にも反映されているからです。
各国の経済データ
国名 | GDP (億ドル) |
一人当りの総所得 (ドル) |
人口 (百万人) |
輸出額 (億ドル) |
輸入額 (億ドル) |
アメリカ | 186,245 | 56,850 | 323 | 15,467 | 24,095 |
カナダ | 15,358 | 43,880 | 36 | 4,209 | 4,417 |
EU | 138,404 | 33,331 | 445 | 48,038 | 44,739 |
イギリス | 26,509 | 42,370 | 66 | 4,450 | 6,441 |
日本 | 49,493 | 38,000 | 127 | 6,981 | 6,719 |
中国 | 111,991 | 8,250 | 1,383 | 22,633 | 18,419 |
オーストラリア | 12,046 | 54,230 | 24 | 2,308 | 2,286 |
GDP、一人当りの総所得、人口:2016年度のデータ
輸出額、輸入額:2017年度のデータ
表を見ると、アメリカの国内総生産(GDP)が1番多いです。
1人当りの総所得を見ても、アメリカが1位ですね。
アメリカで1人雇用されると、中国で6.8人雇用されたのと同じ所得となります。
所得から個人消費が行われるので、アメリカの雇用状況が改善されると、大きな経済活性効果が得られます。
そのため、アメリカの雇用統計や経済指標が注目され、相場に影響を与えるのです。
また、為替の金融市場は取引規模の大きさから、以下のランキングとなっています。
- ロンドン(イギリス)
- NY(アメリカ)
- シンガポール
- 香港(中国)
- 東京(日本)
経済規模と合わせて、EU、イギリス、日本の経済指標も、相場への影響があります。
関連する通貨
オーストラリアドルを取引している時は、オーストラリアの経済指標に注意しますよね。
また、カナダドルを取引している場合は、カナダの経済指標に意識を払っているはずです。
しかし、中には自国以外の通貨に影響を与える経済指標もあります。
各国の経済指標に、影響を受ける通貨を一覧にしました。
国と関連する通貨
国名 | 関連する通貨 |
アメリカ | ドルストレート EUR/USD,GBP/USD,AUD/USD,USD/CAD,USD/CHFなど カナダ絡みの通貨 USD/CAD,CAD/JPYなど |
カナダ | カナダドル絡みの通貨 USD/CAD,CAD/JPY,GBP/CADなど |
EU | ユーロ絡みの通貨 EUR/USD,EUR/JPY,EUR/AUDなど |
イギリス | ポンド絡みの通貨 GBP/USD.GBP/JPY,GBP/AUDなど |
日本 | クロス円 USD/JPY,EUR/JPY,GBP/JPY,AUD/JPY,CAD/JPY,CHF/JPYなど |
中国 | オーストラリアドル絡みの通貨 AUD/USD,AUD/JPY,EUR/AUD,GBP/AUDなど |
オーストラリア | オーストラリアドル絡みの通貨 AUD/USD,AUD/JPY,EUR/AUD,GBP/AUDなど ニュージーランドドル絡みの通貨 NZD/USD,NZD/JPYなど |
なぜ、自国以外の指標に影響を受けるのか?
国内だけで、需要と供給のバランスが取れない場合、貿易を通して、必要なものを他国と輸出入します。
比率が大きいと、貿易相手国の経済状況に自国の経済も影響される=他国の経済指標に影響を受けることになるのです。
具体的な内容を見てみましょう。
カナダは輸出のうち、75.5%がアメリカ向けです。
輸入も52%がアメリカから行っています。
そのため、アメリカの経済状況に影響を受けやすくなります。
カナダドルをトレードする際は、アメリカの経済指標にも注目しましょう。
資源大国のオーストラリアは、輸出の30%が中国向けです。
中国の経済状況に影響を受けるので、オーストラリアドルをトレードする場合は、中国の経済指標も意識してください。
第一次産業が盛んなニュージーランドは、酪農品や乳製品をオーストラリアへ輸出しています。
そのため、オーストラリアの指標に相場が影響される可能性があります。
トレードする通貨の国だけでなく、関連する国の経済指標も意識することで、指標の影響による負けを減らせます。
指標発表の日時
経済指標の発表は、アメリカの雇用統計なら第一週目の金曜日と決まっています。
しかし、夏時間と冬時間では発表時間が異なりますし、休場で発表が翌週になることもあります。
政策金利(FOMC)など、主要な経済指標や中央銀行総裁発言は、事前に発表日時が分かっています。
「経済指標発表予定」や「経済指標カレンダー」などのキーワードで検索してみると、発表日時がでてきます。
また日時だけでなく、相場への影響度や過去の数値、為替の変動幅を見れるサイトもあります。
自分の見やすいサイトが一番です。
いろんなサイトを比較してみてくださいね。
以下に、便利な経済指標発表予定サイトを載せておきます。
参照元:マネックス証券
https://mst.monex.co.jp/pc/servlet/ITS/report/EconomyIndexCalendar
経済指標の発表日や影響度、国毎の経済指標を検索できます。
参照元:重要経済指標直前通知システム
http://www.fxshihyo.com
経済指標の発表前に、お知らせメールを受け取れます。
まとめ
今回は、経済指標の為替相場への影響をいろいろな角度から見てみました。
指標避けてトレードするか、指標の影響が少ないと判断してトレードするかは、各自のトレードスタイルによります。
BO(バイナリーオプション)取引であれば、指標は極力避けるでしょう。
スイングトレードで数週間ポジションを保有するという方であれば、経済指標の発表は無関係といえます。
逆に、スキャルピングトレードを行うので、経済指標は避けますという方もいらっしゃるはず。
ファンダメンタル分析が得意なので経済指標を利用したトレードをしますという方もいるでしょう。
以前書いた「スキャル,デイトレ,スイングの特徴」記事の中で、経済指標とトレードスタイルについて触れています。
よければ参考にしてください。
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リアルタイムのチャートで経済指標の発表前後の値動きを体験したり、経済指標の発表予定サイトで結果を見ることで、指標の為替相場への影響が分かります。
経済指標にどう対応するか。
自分のトレードスタイルと合わせて、考えてみてくださいね!