「木を見て森を見ず」
物事の一部だけに注目してしまい、全体を見失っているという意味で、使われることわざです。
これは、トレードにも当てはまります。
トレードを始めたばかりの頃は、自分がトレードする時間足だけを見てしまいがちですが、これは「木」だけを見ている状態です。
「森」に相当する他のトレーダーが意識するであろう時間足を見ることで、全体の流れを把握することが大事です。
今回は、複数の時間足を見ることの優位性について、解説します。
複数の時間足を見るメリット
- 時間軸の違うトレードスタイルのトレーダーの意識するポイントが把握できる
- 長期時間足を見ることで、相場の流れを把握できる
- 相場の動きを支配している時間足が分かる
時間軸の違うトレーダーの視点が分かる
相場にはスキャルピングトレーダーもいれば、デイトレーダー、スイングトレーダーもいます。
それぞれのトレーダーは、トレードする執行時間足も監視する時間足も異なります。
スキャルピングトレーダーであれば、監視する時間足は1分足や5分足、15分足でしょう。
デイトレーダーであれば、15分足や1時間足。
スイングトレーダーであれば、4時間足や日足、週足が監視時間足となります。
短期の時間足になるほど、監視している相場参加者が少なくなります。
そのため、自分のトレードする時間足より上位の時間足を見ることで、他の相場参加者が意識するポイントを確認しておくことが重要になります。
相場の流れを把握できる
ある時間足で、チャートパターンが崩れるような場面があっても、その上位時間足でチャートパターンは崩れていない場合、上位足の方が監視している相場参加者が多く、優位性があります。
例として、AUD/JPYのフラッグ(ピンク色のチャネルライン)を見てみましょう。
AUD/JPY(オーストラリアドル/円) 15分足
AUD/JPY(オーストラリアドル/円) 1時間足
15分足では、フラッグ(ピンク色のチャネルライン)をローソク足が、実体で下に抜けています(青色の○部)。
フラッグをブレイクして、下落トレンドに転換するように見えますが、1時間足では、15分足の青色の○部は、フラッグのサポートラインで転換のローソク足となっています。
1時間足では、逆に上昇トレンドの継続を示唆しています。
長期足の方が、多くの相場参加者が監視しているため、その後も上昇トレンド継続となり、フラッグ(ピンク色のチャネルライン)を上に抜けていきました。
このように、短期足だけで見ていると、相場の動きを俯瞰的に把握することができず、相場の流れに逆行することになります。
長期足を見ることで、相場の流れに逆らったトレードを減らして、損失を防ぐことができます。
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相場の動きを支配している時間足が分かる
相場に、レンジやトレンドなど、ある一定の規則的な動きが生じることがあります。
しかし、全ての時間軸で、規則的な動きが見える訳ではありません。
例として、GBP/JPYのレンジ(水色の四角部)を、複数の時間足で見てみましょう。
GBP/JPY(ポンド/円) 4時間足
GBP/JPY(ポンド/円) 30分足
GBP/JPY(ポンド/円) 5分足
4時間足で見ると、水色の四角部は下落トレンドの終盤に見えますね。
30分足で見ると、レンジとして、レジスタンスライン、サポートラインが引けます。
5分足で見ると、上昇トレンドが下落トレンド、その後は方向性のない動きとなっています。
同じ場面でも、見ている時間足が異なると、見え方も異なります。
自分のトレードスタイルに合った時間足だけでなく、相場が綺麗に反応している時間足を見つけることで、優位性のあるトレードができます。
最後に
自分のトレードスタイルに合った時間足を見るだけでなく、他の相場参加者が意識する時間足を見ることで、相場の流れや意識されるポイントを把握することができます。
相場の流れに逆らうのではなく、利用したトレードを行えば、大きく利益を伸ばせます。
また、相場には投機だけではなく、実需の資金も流入します。
企業の決算や日銀の為替介入などは、000ラインなど、節目となる価格が意識されます。
そういった実需を想定するためにも、長期足の動きは意識しておくべきです。
優位性のあるトレードをするために、「木」だけにとらわれるのではなく、「森」を見れるようにしましょう。
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